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研究課題:ブレインモルフィックコンピューティングハードウェア基盤の構築

研究の概要:

脳の独特で高度・高効率・人間的な情報処理は未だに実現できず、 デジタル計算パラダイムの大転換が必須である。そこで、新たな計算の枠組み としてブレインモルフィックコンピューティングを創生し、これを高効率・高 性能なハードウェアとして実現するための基盤を構築する。このため、脳の生 物物理を、デバイス物理とダイナミクスを直接利用することによりボトムアッ プ的に再構成する。この際、脳の基本的な構造である階層的フィードバックを 伴う双方向入れ子構造を脳型アーキテクチャとして構築し、脳に特異的な情報 処理様式・機能を創発させる。さらに、ハードウェア試作により提案基盤の検 証・解析を行い、新たな計算原理の探求に挑戦する。

研究の目的:

本研究は、脳が持つ特異的な情報処理様式、例えば、選択的注意、 情報の並列分散表現・処理・記憶とそれらの統合、予測・推論・学習、意識・ 無意識、情報の取捨てと補完、プロセスによる情報処理、自律性・身体性など を、脳型のハードウェアとして工学的に実現するために、脳科学の知見の基、 新テクノロジー、新アーキテクチャを相互に整合させた、ブレインモルフィッ クコンピューティングハードウェアの基盤を構築することを目的とする。
特にこの際、スピントロニクスデバイスのような新奇半導体デバイスの 物理特性・ダイナミクスを直接活用した、脳計算様式創発的なボトムアップ・ 構成論的手法により、テクノロジーとアーキテクチャを一体として開発する。 さらに、ブレインモルフィックコンピューティングハードウェアによる脳特異 的機能の工学的実装を通して創発する新しい計算原理を解明し、ひいては脳の 計算原理に迫ることも目的である。

2020年度の研究計画:

  • 脳型デバイス・回路基盤の構築:
    Kurenkov(分担)、深見(分担)らが世界に先駆けて開発したアナログスピントロニク スデバイス(SOTニューロン、SOTシナプス)を中核として研究を 進める。これらのデバイスは、内包する物理特性により、Leaky Integrated Fire (LIF)型のニューロン特性と、原理的に付加的 な学習回路無しでSpike Timing Dependent Plasticity (STDP)特 性を持つシナプス特性が実現できる。しかし、ニューラルネット ワーク(NN)を構築するために必要な、物理原理に基づく簡素な 数理モデルが無い。そこで、1.1)これらのデバイスの物理現象 に立脚した数理モデルを提案し、さらにこれを用いて回路解析・ 設計用のSPICEコンパクトモデルを構築する。さらに、1.2)構築 したモデル用いて、CMOS回路を統合したNN回路の基本要素のシミュ レーションを行い、デバイスパラメータの調整やモデルの改良を 行う。その際、デバイス設計・試作をKurenkov、深見、佐藤(分 担)、櫻庭(研究協力者)が担当し、また、数理モデルの構築を 堀尾(代表者)、佐藤、櫻庭がデバイス班との協働により行う。
  • 脳型アーキテクチャの構築:
    局所的なネットワークコア (NC)から大域的な構造まで、脳内の様々な領野や階層で普遍的 に観測されるアーキテクチャの特徴は、ア)階層的であり、これ により構造的複雑性があること、イ)双方向的相互作用と階層的 フィードバックがあることである。そこで、以下の項目を主に計 算機シミュレーションを用いて行う。2.1)それ自身も再帰的入 れ子構造を反映した神経ネットワークからなる局所的なNCを提案 する。次に、例えば、脳幹核のような脳の構造を参考に、2.2) NCを階層的かつ再帰的に結合した大域的ネットワーク構造を探索 する。この際、2.1)を堀尾、藤原(分担)、加藤(分担)、森 江(研究協力者)が、2.2)を堀尾、池口(分担)、香取(分担)、 鈴木(分担)、島田(分担)が協力して行う。